”どうしても守らなきゃいけないものなんて、ないでしょ”
…え?
”何度も離婚届に判を押したよ”
夜中の彼の部屋、みんなのいる前で彼は言った。
耳を疑った。
賢いふたりの娘、彼の帰りを待ちわびる妻、
イベントがあるたびにホームパーティーを開く彼の家、
家族で旅行したり、遊びに行ったり…
私には想像もつかない、仲の良い家族、理想的な家庭。
何があなたにそんなことを言わせるの。
確かだと思ってた何かが崩れた気がした。
”俺を育てたのは、妻じゃなくて、その前に付き合った女性だよ。
18から20くらいの間に
俺も、今では女性が育っていくのに関与できればって思ってる。
自分が育てた女がよその男とくっついても、それはそれで
良かったと思えるよ”
彼が付き合った女の人には彼氏が別にいたらしいし、
そういう女の人に彼は振られたこともあるって。
彼の今の妻は、結婚前に婚約者がいたらしくて
親が口きいてくれなかったとか。
なんか、意外だ。彼、頑張ったんだな。
それなのに、どうして?
別れ際。
”泊まっていけといいたい気持ちはあるけど
そういうわけにもいかないでしょ”
何でそんなに無防備なの?
…え?
”何度も離婚届に判を押したよ”
夜中の彼の部屋、みんなのいる前で彼は言った。
耳を疑った。
賢いふたりの娘、彼の帰りを待ちわびる妻、
イベントがあるたびにホームパーティーを開く彼の家、
家族で旅行したり、遊びに行ったり…
私には想像もつかない、仲の良い家族、理想的な家庭。
何があなたにそんなことを言わせるの。
確かだと思ってた何かが崩れた気がした。
”俺を育てたのは、妻じゃなくて、その前に付き合った女性だよ。
18から20くらいの間に
俺も、今では女性が育っていくのに関与できればって思ってる。
自分が育てた女がよその男とくっついても、それはそれで
良かったと思えるよ”
彼が付き合った女の人には彼氏が別にいたらしいし、
そういう女の人に彼は振られたこともあるって。
彼の今の妻は、結婚前に婚約者がいたらしくて
親が口きいてくれなかったとか。
なんか、意外だ。彼、頑張ったんだな。
それなのに、どうして?
別れ際。
”泊まっていけといいたい気持ちはあるけど
そういうわけにもいかないでしょ”
何でそんなに無防備なの?
部屋の飲み会だった。
彼の周りには、他の人が気を利かせて
用意したらしい人事の女の子達。
みんな、お姉さん。
私は、彼からずっと離れて端の方に座った。
一緒になんて、いられないよ。
彼のことは忘れることにした。
文系の女の子と勝負して勝てるわけがない。
しばらく諦めて席にいる人と話してたんだけど、
ビュッフェ形式だったので、
料理をとりに行った間に私の席がなくなってた。
彼じゃない人に、彼のテーブルの方に呼ばれた。
思い切って、ふたつあいてた席のうち彼側の席に座った。
周りにいる人と、たわいのない話をした。
他の人は入れ替わるけど、彼は、動かない。
私も、動かない。
1次会の終わりまで、ほとんどずっと彼と一緒にいられた。
2次会の途中で、女の子達は帰宅。
その後まで残ってた私は帰り道、彼と歩いた。
他の人も途中まで彼といたんだけど、電車に乗るところでお別れ。
4人くらい後に残ったんだけど、彼と私はふたりで歩いてた。
人がいたら大勢でワイワイやるのが彼流だから、意外だった。
たいした話はしなかったけど、凄い近距離に彼がいた。
普通さ、普通の人はこんな距離まで近づかない…んじゃないの?
私が近づきすぎたのかもしれないけど、彼も距離を調整しない。
”ほんとに、誰か、いい人いないの?うちの部内に”
”んー、部長じゃないことは確か”
そう、ほんとは、あなたが一番いい。
でも、それはさすがに言えない。
重い恋愛感情だって思われたくないし、言わない方がいいでしょう。
結婚したいのかって聞かれたから、
恋愛、続かないし、1年で飽きちゃうって言ってしまった。
”妥協しちゃだめだよ。妥協は絶対許さない”
意外な答え。部外者の答えにあるまじき発言。
”君は、僕にとっては肌触りがいいよ”
”そんなことない。私は冷たいし、
恋人に言わせると倫理的に問題があるって”
自分もそう思う。何度言われたことか、何度相手を傷つけたか。
彼にとって私の肌触りがいいのは、
きっと、私の理想と彼自身が似ているところがあるから。
私が、彼のことを良く思っているから。
思わぬ彼の言葉が聞けて、少し舞い上がってた。
じっと、こっちを見て、そんな風に言われると思わなかったから。
彼の周りには、他の人が気を利かせて
用意したらしい人事の女の子達。
みんな、お姉さん。
私は、彼からずっと離れて端の方に座った。
一緒になんて、いられないよ。
彼のことは忘れることにした。
文系の女の子と勝負して勝てるわけがない。
しばらく諦めて席にいる人と話してたんだけど、
ビュッフェ形式だったので、
料理をとりに行った間に私の席がなくなってた。
彼じゃない人に、彼のテーブルの方に呼ばれた。
思い切って、ふたつあいてた席のうち彼側の席に座った。
周りにいる人と、たわいのない話をした。
他の人は入れ替わるけど、彼は、動かない。
私も、動かない。
1次会の終わりまで、ほとんどずっと彼と一緒にいられた。
2次会の途中で、女の子達は帰宅。
その後まで残ってた私は帰り道、彼と歩いた。
他の人も途中まで彼といたんだけど、電車に乗るところでお別れ。
4人くらい後に残ったんだけど、彼と私はふたりで歩いてた。
人がいたら大勢でワイワイやるのが彼流だから、意外だった。
たいした話はしなかったけど、凄い近距離に彼がいた。
普通さ、普通の人はこんな距離まで近づかない…んじゃないの?
私が近づきすぎたのかもしれないけど、彼も距離を調整しない。
”ほんとに、誰か、いい人いないの?うちの部内に”
”んー、部長じゃないことは確か”
そう、ほんとは、あなたが一番いい。
でも、それはさすがに言えない。
重い恋愛感情だって思われたくないし、言わない方がいいでしょう。
結婚したいのかって聞かれたから、
恋愛、続かないし、1年で飽きちゃうって言ってしまった。
”妥協しちゃだめだよ。妥協は絶対許さない”
意外な答え。部外者の答えにあるまじき発言。
”君は、僕にとっては肌触りがいいよ”
”そんなことない。私は冷たいし、
恋人に言わせると倫理的に問題があるって”
自分もそう思う。何度言われたことか、何度相手を傷つけたか。
彼にとって私の肌触りがいいのは、
きっと、私の理想と彼自身が似ているところがあるから。
私が、彼のことを良く思っているから。
思わぬ彼の言葉が聞けて、少し舞い上がってた。
じっと、こっちを見て、そんな風に言われると思わなかったから。