写真

2004年8月2日 恋愛
彼が、彼の奥さんの写真を見せてくれた。
先週、奥さんと子供さんが会社にきたときのものだ。

思ってたほど、奥さんは美人じゃなかった。
ただ、綺麗な姿勢でシンプルな服を着こなしてる彼女は
歳を重ねていながらも清潔感があった。

2−3枚の写真しかなかったから、細かい雰囲気までは分からない。
でも、私が思ってた彼の奥さんとは少し、違う感じだ。
彼には、上品だけどもう少し親しみやすい雰囲気の女の人のほうが
似合うように思う。
時折見せる彼の大人びた彼は、
彼女の望んだものだったのかもしれない。
ただ、悪戯っ子の彼には彼女は少し窮屈なんじゃなかろうか。

なんとなく、私に勝ち目があるって言った
彼の言葉がわかった気がした。
ただ、彼女から彼が貰ってるものは、
私が彼にあげられるものより多い。
あれだけ綺麗でいられること、
彼の身の回りの世話をすること、
子供を育てて、彼の知り合いをもてなして、
毎日彼を送り迎えして。
私みたいな不届き者が出ないように
彼の身辺にも気を配ってなきゃならない。

彼は、気づいてるんだろうか。
彼女のそんな面に今の私は勝てないよ。

助手席

2004年8月1日 恋愛
彼の車に乗せてもらった。
助手席。いつも、奥さんが乗ってるんじゃないかな、ココ。
微妙に違和感を感じたのは、たぶん右側だったせい。

想像以上に大きい車だった。
色は想像してた通り、濃色のグリーンだった。

なんかね、好きな人が運転する車に
乗せてもらってるってのが、嬉しかった。
たとえ、走ってるのが普通の路地裏でもね。

車を停めて、運転席から助手席の私を見て彼が可笑しそうに笑った。
彼、何考えてたんだろう。私と同じことかな?

テクニック

2004年7月31日 恋愛
彼に昨日、彼氏が彼の奥さんが美人だって言ってたって話をした。

”君と、君の彼氏とでうちに遊びに来る?”
彼がとんでもないことを言い出した。
戸惑う私に彼が言う。
”そういうのをね、悪戯って言うんだよ”
彼が笑う。
”考えてみるよ”
彼氏に言ってみよう。その悪戯、面白そう。

”美人ってさ、ある程度、テクニックもあるじゃない”
彼が言う。
”うちの妻、俺が最初に見たときは、他の人と
美人かどうかわかんないねって話してたんだよ。
だから、今そうやって他の人に美人だって言われるなら
それは結婚してから綺麗になったんだと思う”
さすがにね、彼のこの言葉には嫉妬した。
だって、入り込む隙間なんてどう考えたってないじゃない。
彼が磨いて、彼女がそれに応えたってわけ。

”完成品には興味ないでしょ?じゃないと私は完成品と勝負できない”
どう考えても、奥さんの方が彼の理想に近いはず。
彼はそれでも満足してないって言った。
何が不満なの。みんなが認める美人で、できた奥さんよ?
勝ち目、あるの?
”君にとってのゴールは、俺が君だけでいいって思うことだね。
それを選ぶかどうかは別として。君のほうが、有利だよ”

どこが?全然わからない。
”君には、将来があるから。限界が見えないから、惹かれる。
俺たちは、同じ目標があって、同じ物を創っていくことができるし、
一緒にいる時間だって、長い。
君のほうが、近くにいると思うよ”
私には限界が見えてるのに?
”それは違うと思う”
もう、わからない。
彼はどう思ってるか知らないけど、
仕事について言えば私はからきしダメだ。
必死で努力しないと、超えられないよ。

いつまで続けられるかな。
報酬くれる気はあるみたいだけど、
ハードルはそれ以上に高い。
がんばらないと…。

”机の配置、変えたんだ”
彼が言う。
”どういうふうに?”
答えは、なんとなくわかった。
私の席のほう向いて、仕事してくれるってことじゃない?

でも、それを確認する勇気はなくて、
あれこれ違う理由を見つけては彼に言った。
彼が否定する。
”あなたも、引越しの前後で机の配置変えたよね。
きっと、同じ理由”
彼が言った。
”こうすると、目だけで合図できるでしょ”
彼が言う。

ありがとう。嬉しかった。

家族

2004年7月30日 恋愛
席の移動があった。
一足はやく移動してた彼が、私の移動を手伝ってくれた。
普通さ、逆じゃない?
最下層のヒラ社員が超多忙の課長を雑用係に使うって、ありえない。
移動が終わるまで何くれとなく気を使ってくれた彼は
昼過ぎに外出で出かけていった。

夕方、私が帰った後、彼の家族が会社に来て、
よりによって彼の紹介で彼氏と会ったらしい。
別に、私の悪行がバレたわけじゃなくて、
会社のイベントでの話なんだけど。

私はそのときその場に居合わせなかったけど、
彼氏から”彼の家族に会ったよ”ってメールが来てた。
彼氏も彼の奥さんは美人だって言ってた。
他の人がそういうのもきいたことがある。
お料理が上手くて、美人で、賢そうだと。

彼の奥さんが凄いブサイクだったらがっかりなんだけど、
美人で完璧な奥さんだったらそれはそれで困る。
勝ち目、ないじゃない。どう考えたって。
どっちか選べって言われたら、後者を選ぶし
私だって後者であって欲しいんだけど…

3年後

2004年7月29日 恋愛
外部で会議。その後、課の人との飲みがあった。
もちろん彼も一緒。

お腹が凄く痛かったから、彼がいなかったら帰ってた。
お昼ご飯が体に合わなかったのか、お腹壊してた。

今日は彼は私の正面に座ってた。
この前の飲みのときと同じく、彼はテーブルの下で
私の足をつついて遊んでた。
私も彼の足をつつきかえしてみたり。

2次会もあったから10時過ぎまでみんなといた。
彼とチームを組んでダーツをした。
私、下手だったけど、彼といたときはたまたま
うまく投げられて一度勝てた。

帰り道。
てっきり一緒に帰ってくれるかなって思ってたら
彼は私が帰るつもりの経路と違うところを通って帰るって言った。
一緒に帰りたいのに、意地悪?
もちろん、ついていくことにした。
かっこ悪いけどさ、体裁なんかもういいよ。一緒にいたいの。

電車をおりて、乗り換えるのかと思いきや、
彼は駅の外に出た。
私も彼についていく。
”あてはないんだけど”
彼が私の手を取った。

私鉄の駅1つ分くらい歩いたところにあった、
大きな木を囲むようにして設置されたベンチに
ふたりで座って話した。

この前、酔った彼と話したとき、
彼は何言ったか全部覚えてなさそうだった。

今日は、彼はこの前ほど酔ってなさそうだった。
たくさんキスはしてくれたけど、
この前よりは理性的な感じがした。

何度かにわか雨が降って、木陰の私たちも少し濡れた。
彼が雨降って濡れるから帰ろうって言いだすのが怖くて
彼の肩を抱いてた。
そのまま、頬を彼の頬に寄せる。
目を閉じたまま、彼は抵抗しなかった。

何度目かのキスの後、彼が言った。
”キスが気持ちいい”
私も、気持ちいいよ。こんなにたくさんディープキスしたの、
あなたが初めて。
”君を感じる”
存在、認めてくれる?

”俺のもの?”
唐突に彼が訊く。この前も、訊かれた質問だ。
”99%あなたのものよ”
あとの1%はせめて私に残しておいて。
”でも、あなたは私のものじゃない”
”否定しないよ。でも、半分以上は君のものだ。
子供とか、家庭とかそういう責任を除けば
98%くらいは君のものだよ”
あなたのあとの2%は奥さんのものなのかな?
”全部欲しい”
”無理だよ。今はこたえてあげられない”
知ってるよ。私だって、今すぐはムリ。
だから、今すぐじゃなくてもいい。
”ずっと、好きでいるから。
今は16も離れてるけど、50と70とかなったら変わらないよ。
だから、そのころに一緒にいられればいいと思ってる”
彼が言う。
”私が結婚しても平気?”
”いいよ”
遅いよ、それじゃ。待てないよ、そんなに。
そんなに長い間、嘘つきたくないもん。
”じゃあ、いつならいいの?10年後?3年後?”
”3年って言わないけど…4年くらい”
”じゃあ、約束は出来ないけど、
そのころに一緒にいられるようにお互い努力しよう”
それまで、私は彼の気持ちをひきつけていられるのかな。

帰りの駅。思わず顔が緩んでしまう私に彼が言った。
”幸せそうだね”
うん。幸せよ。あなたがいるから。
”良かった。5月の最初頃は、もっと悩んでるように見えたから”
今も悩んでるけどね。あなたがいてくれる間は平気だよ。

だから、遠くに行かないで。

PMS

2004年7月28日 恋愛
今日は眠かったから、朝、半休をとった。
起きたんだけど、会社で眠くなるの分かってたし。
彼から電話がかかってきたから、休みますって伝えて。

昼過ぎに会社に行くと、彼が風邪?って聞いて来た。
風邪でも寝坊でもないよって伝えた。

今日は、彼が新しい席に移っていった。
隣の部屋。彼が一番に行っちゃって、なんか寂しい。
目の前にいたのにさ。
私はまだ移動できないのに、先に行っちゃった彼に
ちょっと面白くないものを感じてしまったり。
彼がそんなつもりじゃなかったって分かってる。
分かってるけど、やっぱり寂しいな。

帰り。
彼が”もしかして、怒ってる?”って聞いてきた。
一度否定したけど、少し、って言い直す。
”嬉しいけど、ごめんね”
彼が謝る。
ううん、仕方ないんだ。
あなたは、忙しいから、行ける時に行かないと。
怒るのは筋違い。

”今日、辛い?”
彼もめまいがするなんて言ってるのに、
私のこと気遣ってくれる。
私はただ眠かっただけ。仕方ないよ。生理的なものだから。
”それは、俺にもどうしてもあげられない”
彼が言う。
そんなことない。
あなたがそこにいてくれたら、目が醒めるよ。
”数ヶ月の間だったら、止めてあげられるけど”
いや、それをすると、たぶん数ヶ月ずっとそういう日々が続くと思う。
それは、言わないでおいたけど。
”試してみる?”
聞き返してみる。
”試すって、そういう気持ちですることじゃないでしょ”
”じゃあ、一度してみる?”
”僕が、あなたとの家庭を作りたいって思って、その準備が出来たら”

なんというか。優等生の答え。
シラフでもそういうこと言えるんだね。

嘘はついてないって、彼は言う。信頼してくれてるとも。
こんな関係にいたら、みんな、そう言うんだと思う。
でも、私も彼を信じてる。
少なくとも、彼は嘘はついてないと思うから。
できないことを、できるとは言っていないから。
どうすれば、彼を捕まえられるだろう。

彼の妹さんの話を聞いた。
彼に似てたら、きっと可愛いだろうなって思って
聞いてみたんだ。
案の定、美人みたい。

結婚式のときの写真がネット上に落ちてるかもよ
なんて言ってたから、帰ってみてみたけど、
残念ながらもうなかった。
ただ、彼女が結婚したときの新聞記事はまだ残ってた。
美人だって書いてあるけど、写真は俳優の旦那さんだけ。

一度、見てみたいなぁ。

見舞い

2004年7月27日 恋愛
”売店付き合ってくれない?”
彼が言った。
終業時間中に誘われるなんて、今までなかった。
なんだろ?

”今日は、早く帰らなきゃいけなくなったんだ。
家のことじゃないけど、ちょっと課の人に会いに行くから”
最近、体調を崩して休みがちな主任さんに会いに行くみたいだった。

”遅くなるの?”
”うーん、遅くならないから、時間が合えば外で会うことも出来るんだけど…今日はいいかな?”
今日はもういいよ。ほんとは凄く残念だけど。
ここでごねても、みっともないしさ。
”今日は疲れてるから早く帰って寝るよ”
精一杯の強がり。

”そういう気を使えるってのは、いいよね”
気を使ったんじゃない。
ただ、がっかりしてるのをしられたくなかっただけ。
そんなふうにしか言えない自分がちょっと嫌だった。

心配

2004年7月26日 恋愛
”待っててくれたの?”
遅くなった彼が言った。
”うん”
そう。することがなかったけど、あなたが帰るのを待ってた。
今日は、眠かった。
辛かったけど、それでも一緒に帰りたかったんだもん。
そうじゃなきゃ、会社に来てなんかいなかった。

”Tさんと帰ればよかったんじゃない?”
門を出てから、彼が言った。
Tさんの通勤経路は彼とは逆方向の駅。
私の家に帰るには、そっちのほうが乗り換えが少ないし、早い。
早いんだけど…
”なんでそんな意地悪言うの?”
思わず絡んでしまった。

だって、あなたは私があなたと帰りたがってるの知ってるでしょう?
定期だって、値段が2倍になるのに
わざわざあなたと一緒の経路に変えたのよ。
知っててそういうこと言うのは意地悪じゃないの?

”だって、向こうの方が早いでしょ。無理して欲しくなかったから。
意地悪とか、そういうつもりは全然ない。倒れられたら困るから”
そうなのかもしれないけど、それって違う。
私は、あなたといるからこうしてここにいられるの。
そうじゃなかったら、とっくに疲れて倒れてる。

”私がそうしたいからするの。好きにさせて”
可愛くないけど、そんなふうに言ってしまった。
ああ、可愛くないよね。

帰って、彼が見るHPに心配してくれてありがとうって書いておいた。
なんていうか、心配なんかしてくれなくていいから、
今は一緒にいさせて欲しい。

言葉

2004年7月25日 恋愛
彼に会いに行った。会社に。
ちょうど会社に行く途中、彼から電話がかかってきた。

”今ね、自由が丘”
まるで友達にでも言うように話す自分がいる。
なんか、変な感じ。
”会社、来るつもりだったんだ”
意外そうな彼の声。
あたりまえじゃない。あなたが、日曜に会社に行くって言ったから。
会いたいんだもん。

会社に行ったら、意外なことにほとんど人がいなかった。
彼以外に、遠くの席にもうひとりだけ。

”一昨日は、酔ってました。
言っちゃいけないこと言ったなって。反省してます”
謝られてしまった。
酔ってないって、言ってたじゃない。
謝られても、貰った言葉は返してあげないわよ。
”でも、ウソはついていないから”

嘘ついてないんだ。
じゃあ、私のこと抱きたいとか、思ってるんだ。
そのうち、結婚する日がこないとも限らないわけ?

ウソ。
ウソというか、そんなこと起こり得ない。
起こると面白いと思うから、起こって欲しいと願ってるけどね。

二兎

2004年7月24日 恋愛
彼氏と馬に乗りに行った。

最初、駅前で風船を貰った私を見て
彼氏が不機嫌になったけど、
それ以外は割と楽しかった。

ただ、彼に比べると
彼氏は割とぼーっとしてる時間が長い。
比べてどうなるわけでもないけど、
話をしようとしてくれる彼のほうが
魅力的に映る。
彼氏の方が一緒にいて楽なのは楽なんだけど。

あと、彼氏の方が美男子ではある。
白磁のような肌と黒目がちなウルウルの瞳は
相変わらず文句なく綺麗。
彼の優しい目も、好きなんだけど。

どっちかを選ぶのか、どっちにも逃げられちゃうのか。
目新しい世界を持ってきてくれそうな彼に
心は傾いてます。

ウソ

2004年7月23日 恋愛
プロジェクトにキリがついたから、打ち上げやるって名目で
彼が私を飲み会に誘った。
関係ない人も来ていい、なんてメールには書いてあったけど
集まったのはたったの9人で無関係者は私だけ。
ちょっと行きづらかった。やめようかどうか、直前まで悩んでた。

みんな、多分私と彼の関係を怪しんでる。
飲み会の途中、彼が私に足を絡ませてきた。
他の人からも見えてたかもしれない。

飲みは結構遅くまであって、1次会終わったのは11時過ぎ。
駅もみんな同じ方向。もう今日は帰るだけかなって思った。
”この状況で、ふたりきりになるにはどうすればいいと思う?”
彼が言う。

駅で私がトイレ行ってる間に、電車がきたらしく
方向が違ってたひとりをのぞいてみんな帰ってた。
不審なのは改札に彼が残ってたことだけ。

改札を入ったところで彼とキスした。
反対側の駅のホームにまだ主任さんがいるから、
私ひとりでホームに一度出た。
風に乗って、主任さんの死角になる壁際に隠れてた
彼の香りがこっちに漂ってくる。

匂いにつられて彼の横に戻ると、彼がキスしてくれた。
いつも軽く腰に手をかけるくらいなのに
そのまま抱き寄せられる。
息をつく暇もないディープキス。
いつもの理性的な彼からは想像もつかないくらい
きつく私を抱いて、焦れたように舌を絡ませる。
私も彼の背中に手を廻して負けじと抱きしめた。
彼氏に比べると少し小柄だけど奥行きのある身体。
夜になっても変わらない香水のいい匂い。

酔ってない、なんて言ってるけど、あなたは酔ってる。
電車に乗ってからも、ダメっていいながらもキスしてくれた。

”愛してる”
ため息のように彼が囁く。
奥さんだって愛してるでしょう?
彼もそれは否定しない。

”俺が言っても信じないだろうけど、愛してる。
束縛したいって思うし、嫉妬を感じるし、
嫌だなって思う。彼氏いるから。それに…”
ちょっと言い淀んで、彼が私の耳に顔を寄せる。
”俺のものだと思ってる”
嫉妬しないとか、束縛しないとか、いつも言ってるのに。
”可愛いだけよ””そうだよ”
”あなたの人生、足りないものなんてないでしょ?”
彼の答えは、愛だった。

愛情なんて、彼の奥さんがたくさん彼にあげてると思う。
彼がただ、受け取っていないだけ。
愛してないのに、毎日駅まで彼を送っていったりしない。
帰りに迎えに出たりしない。
外にいる彼を迎えにくるかもなんて、彼の口から出たりしない。
毎日彼の帰りの電話を待っていたりしない。
今日は外出だから晩ごはんない、なんて理由で
彼の仕事中に電話かけて甘えてきたりしない。
そのことに彼が気づいてしまうのが怖い。

”抱きたい。今はまだダメだけど、俺が自由になって
一生一緒にいたいって思うようになったら、そのときは抱くよ”
そんな勇気ない。私の体を見たら、きっとあなたは私を抱かない。
それに、あなたが私を抱いたら、
多分その時の関係から先を私は望めない。
”あなたの子供が欲しい。くれる?”
”俺と君との間の子供は作ってあげたいと思うし、それは簡単。
だけどそれはあなたを幸せにしない。
だから、子供は約束できない。ただ、幸せにすることは約束する”
”あなたが欲しい”
彼がニッコリ笑う。
”あげない””嫌。欲しい”
”…分かった。あげる。全部あげる”

コトバだけでね、いいよ。
本当はきっと、重すぎて受け取れない。
でも、私は彼からその言葉が欲しかった。

彼氏がいるのに、あなたと付き合ってるのがバレたら
確実に私は悪者。
あなたの幸せな家庭を壊して、彼氏を傷つけた加害者。
あなたのことしか見ていない、バランス感覚の崩れた関係。
私の周りの人間も、彼の周りの人間も私たちの関係に反対するだろう。
誰がどう見ても、釣り合わない。
実際は、始めるキッカケを作ったのは彼。
4月のあの日、彼が私の話を流していたなら。

”裏切らない?”
彼が訊く。
”裏切らない”
本当は約束はできないけど、いまはそのつもり。

本心

2004年7月22日 恋愛
”昨日、どう思った?”
少し嫉妬したよ。寂しいと思った。あたりまえじゃない。
言わないけどね。そんなふうに。

”楽しそうだなと、思った”
そう。愛されてて、いいなと。

鬼ごっこ

2004年7月21日 恋愛
予定が入ってないよって言ったから、
彼が帰り道誘ってくれた。
彼氏は前に飲み会だって言ってたからノーケアで放っておいた。

彼氏の姿が消えて、彼と帰ろうって申し合わせて
部屋を出ようとしたら電話。
”今から駅に行くから”

いや、ごめん。彼優先だわ、私。
電波状態が良くないのと、彼の携帯がハーフレートなのとで
よく聞こえない。
めんどくさいし、エレベーターがちょうどきちゃったから
電話切ってしまった。

それを見てた彼が言う。
”そりゃまずいよ”

そうだよね。そのうち、
彼にもそういうことするって思われちゃうもんね。
でもね、私は彼といたいの。
予約だって彼のほうが先だったし。
恋人だからって、いつも私の予定が空いてると思ったら
それは間違いよ。

”パソコンショップ行くの、付き合ってくれない?”
彼が言う。
帰り道だけじゃない場所に行くのは初めて。
珍しいな。

いつもと違う駅で降りてかなり歩いて、ようやく目的地に着いた。
着くまでの間、私の知らない街を彼が案内してくれた。

目的の物を見つけたらしい彼が
パソコンを眺めてた私を呼びにきた。
後で知ったんだけど、私がそのとき嬉々としていじってたのは
ちょうど彼が欲しいって思ってたPCだったらしい。
運が良かった?

”妻が迎えにくるかも”
彼が言う。
どうも、彼の奥さんが彼の居場所を聞いてきたらしい。
彼は速攻でお店を出て、バスの時間を調べてって言った。
車で乗り付けてくるかもしれない奥さんから
逃げようってつもりみたい。

”妻がきたら、悪いけどそのまま帰っちゃうよ。許して”
仕方ないし、私のためにもそのほうがいいんだけど
ちょっと寂しかった。
ただ、その前にバスが来て、私と彼はそのままバスに乗った。

奥さんは、ただあなたとデートしたいだけだよ。
たぶんね。
疑ってるわけじゃなくて、
あなたのこと愛してるんだよ。きっと。
素直にそういえないから、疑ってるように聞こえるんだよ。

そんなことあなたが気がついても
私には何のメリットもないから
あまり言わないけど、
それでも今日は言わずにいられなかった。
彼は否定したけれど。

羨ましいけどね。奥さんが。
でも、あなたがたくさんの人に愛されてる方が
いいと思うから我慢する。

電車より彼の家の近くを通っていった。
絵に描いたような高級住宅街。
こんなとこに住んでるんだ。彼。
上京しなかったらこういうところがあるってことさえ知らなかったな。

彼の物腰って、こういうとこでのんびり育ったところから
来てるのかもな。
イヤミはないし、いろんな人に囲まれてると
上手く合わせているんだけど、
下品にならない程度にいつもどこか余裕がある。

世界が違うよね。
私もこんなところで暮らしてみたかったなぁ。

独り言

2004年7月20日 恋愛
毎日キスして欲しいって彼に言ってみた。

”毎日1分と、10日に1回10分とどっちがいい?”
彼がそんなことを訊く。
まんなかくらいで。

”どこか、ふたりきりになれるところってあるかな?”
別に、ふたりきりじゃなくてもいい。

あなたの唇が欲しいだけ。
週に1回もない今のペースじゃ足りないよ。

”そうやって、確かめ合うことが目的になったら
それは違うから”
そうなんだけどね、それでも欲しい。
キスするときのあなたの表情が欲しい。

買い物

2004年7月19日 恋愛
彼氏と買い物に行った。

誘ったのは彼氏だったけど、
いつもどおり私の買い物が終わる頃には彼氏は不機嫌になってた。

そんなんだったら、
めんどくさいから、誘わないで欲しい。

それでも彼氏は頑張ってくれたんだろうな。
いつもより長い間、付き合ってくれてたし。

なんか、複雑です。

仮面

2004年7月18日 恋愛
彼氏と馬に乗りに行った。

帰り道。
お腹が減ったからレストランによりたかったんだけど
彼氏に”終電がなくなるから”って断られた。
時間は10時半。終電まではまだ時間があったのに。
しかも、疲れてるとかで不機嫌。

私も頭痛かったけど、疲れた彼氏の機嫌をとらなきゃならなかった。
怒りたいけど、必要以上に笑顔で。
いつも、彼はこんなことしてるんだろうか。
いい男って、大変だな。
彼から朝、電話があった。
彼が、今日は会社行ったら電話くれるって言ってたから
6時ごろに目覚ましかけて起きて、
それから浅い2度寝を繰り返してた。

携帯にかけてねって行ったんだけど
朝イチで鳴ったのは家の電話。
こっちは、かかってきた相手が誰なのかわからないから
もしかしたら、彼じゃないかも、なんて思って電話に出た。

”おはようございます”
聞こえてきたのはハリのあるテノール。彼の声だ。
”まだ寝てた?起こしちゃったかな??”
いつも、名前と用件だけで切っちゃうけど
今日はちょっとだけ長い間話をした。
もちろん、中身は依然用件といえば用件だけど…

彼氏にはまだ何も言ってないけど、
今日は彼に会いに行くよ。

目覚まし。

2004年7月16日 恋愛
久々に、彼氏の電話で起きた。

昨日、あまりにも疲れてて、帰ってそのまま倒れて寝てた。
気がついたら8時。

私が出かけてないときには家の電話の鳴り方が違うってことを
知ってる彼氏が起こしてくれなかったら
今日はせっかくの研修をすっぽかすところだった。

今日ばかりは、彼氏に感謝します。

駅で

2004年7月15日 恋愛
彼が、外出をやめて会社にいてくれた。
私のためじゃないかもしれないけど、嬉しかった。
夜も、一緒に帰ろうって、そっと誘ってくれた。
少し、早めの時間に。

家にも電話してなかった。
だから、今日は少し時間があった。
最初、同じ課のヒトがついてきちゃったけど、
途中からはふたりだった。

最近よく座る駅のベンチで、少し長めに話をした。
”可愛いねって、言われない?”
ここぞとばかりにじっと彼のことを見てる私に向かって、
彼が言う。
彼は、前を向いてて時折こちらを見るだけ。
対する私は首が痛くなるまで彼のほうを向いたまま。
…完全に、私が負けてる。
”可愛いって、大抵のものは可愛いじゃない。
可愛げがないってのは言われるよ”
そう。可愛げないよ。
可愛いとか、美人だとか、みんな誰にでも言うじゃない。

”痩せてて、つり目で、声が低い女性が好きなんだ。
 それに、あなたは美人だよ”
彼が言う。
痩せてて、ってのがよくわからない。
痩せてる女って、抱きごこち悪いでしょ?
声だって、ボソボソ喋る私より高い声のほうが可愛いじゃない。
そもそも、美人ってのはウソだから。
写真に写る私は凄い野暮ったい。今だってノーメーク。
肌なんか酷いクマと吹き出物で自分で見ても見苦しい。

最近は敢えて吹き出物すら見えなくなるくらいの
至近距離まで彼に寄ることにしてる。
なんというか、近くで見すぎると人間って
バランスが分からなくなるみたい。
さらにそこで彼の目を見る。彼が、アラを見ないように。

何度か、沈黙が流れた。
飛び交う羽虫を彼が払いよける。
私の髪についた虫も、彼が取ってくれた。

”何か、ついてる”
彼が、私の唇に触る。
きっと、噛んでたガムがついてたんだろう。

彼の目が、微妙に目じゃないところを見てた。
何度か、何かいいたげな感じでこっちを向いて、また向き直って。
何本目かの電車が通り過ぎて、駅のホームが空になる。
不意に、彼の唇が私の唇に触れた。
軽いキス。

ここで、してもいいの?
1度しちゃったら止まらないよ、きっと。
顔を離して笑ってる彼に体を寄せたら
彼がまたキスしてくれた。
”人がきたよ”
おどけてみせる彼を軽くあしらって顔を寄せる。

こんな時間が、いつまで続くのかな。
彼と結婚して、彼を幸せにしてあげられるとは思わないけど、
彼と一緒にいたいと思う。

綺麗な目、疑うことを知らない心、私の知らない世界。
欲しくて、たまらないから。

賭け

2004年7月14日 恋愛
”君のほうが、先に飽きるよ”
彼が言った。
”君のほうが、若いから。そうじゃないとダメだ”

そんなの、ウソ。
本当はそうであって欲しいけど、きっと無理。
否定する私に彼が言った。

”何を賭ける?”

何を賭けようか。
あなたが先に飽きたら、私に何をくれる?

考えておくっていう彼に、代わりを下さいって言った。
あなたの代わりなんて、いないわよ。きっと。
代わりになるかどうかは、私が判断するって言い添えた。
彼が頷く。”リーズナブルな要求だよね”
彼は出来ない約束はしない。
この人、何か策があるんだろうか。

”私は何をあげればいい?”
考え込む彼が出してきた答えは、結婚式の招待状。
そんなの、あなたのことを飽きなくてもあげますよ。
こんな関係のあなたがいる間に結婚したいとも思わないけれど。
”じゃあ、俺が納得するように俺のことを飽きたって証明して”
そんなこと、聞いてどうするの?

彼もきっとそう思ってると思うけど、今のまま行けば
社内で噂になるだろうし、
彼は彼で出世していくだろうから
きっと私たちは一緒にいられなくなる。
だから、この賭けに勝敗はつかないと思う。

勝っても負けてもいい。でも、一緒にいられなくなるのは嫌だ。

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