見送り

2004年8月8日 恋愛
朝。寝坊してぼーっとしてるところに電話が鳴った。
慌ててベッドから降りる。番号は…公衆電話。

この時代に公衆電話から、
こんな時間に電話してくるのは
彼しかいない。
慌てて電話をとったところで、電話は切れた。

がっかりして電話を眺めてたら、留守電が入ってた。
よく聞こえなくて、耳を押し当てる。3〜4回、聞きなおした。

”もしもし…”
彼の声だ。会社にいるけど、連絡つかなかったからまたねって。

連絡、する手段なんてない。
電話もメールも、お互いしないことになってるから。
例外は、彼が休日に会社に出たときの電話。
だから、迷った。
でも、会社なら、いいかな。

会社のメールアドレスに、起きたよってことだけ送った。
期待半分、諦め半分で朝食の用意してたら
しばらくしてから、彼から連絡があった。
お昼に会おうって。

一昨日の一件もあったし、今週はもう会えないと思ってた。
酷い肌荒れの憂鬱もどこへやら、会いたい気持ちでいっぱい。

帰省する私は、彼と一緒に東京駅まで行っただけ。
帰省ラッシュなんて経験したことがないだろう彼は、
新幹線の切符売り場の混雑を不思議そうに眺めてた。

”昨日、妻に「あなた最近いいことがあったでしょ、顔に出てるわよ」って言われたよ”
彼、幸せそうな顔をしてるらしい。
それが、奥さんの前でっていうのが少し面白くないんだけど。
”大丈夫なの?”
”俺ね、新しいコンピュータ買ったときと、
仕事がうまくいってるときは幸せそうな顔してるらしいよ”
”仕事、うまくいってる?”
”うん。新しいプロジェクト始まるし、まぁまぁ気持ちは乗ってるよ”
最大の要因は私らしいけど。
それがバレたら、まずいんじゃない?
”気持ちはどうしようもないよ。問題は、行動”
気持ちだけでも、奥さんから見たらダメだと思う。
”あなたが不安な間は、いくらでも付き合う。
でも、お互いが、お互いの気持ちが特別だってことを理解できたら、
確認しあう行為は減らしていかないといけないと思ってる”
いっしょにいるときは、疑ってるつもりなんてない。
でも、私はもっとたくさんあなたとキスしたい。
私がいない間に、あなたの気持ちがさめてるんじゃないかと思う。
あなたの腕の中にいても、夢じゃないかと思う。
物理的に、法的に、あなたを縛ったとして
あなたの気持ちが変わることを防げるわけではないけれど。

”大丈夫だから、心配しないで”
心配そうな顔をしてたんだろうか。彼が言った。
環境が変わって1週間は、長いよ。
東京にいたら、感じないかもしれないけれど。

別れ際、何度もこっちを振り返って、手を振ってくれた。
一度別れた後は振り返らない、なんて見栄は、張らないんだね。
来てくれて、ありがとう。
口に出すと、不自然に響くけど、嬉しかった。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

この日記について

日記内を検索