新歓

2004年6月16日 恋愛
課の飲みだった。もちろん、彼も私も出席。前にも、行くよねって聞かれてたし。

1次会から、テーブルは違うけど席は隣同士だった。
テーブル違うし、彼は課長さんだし、
新人さんと結構話してた。
なんか、新人の女の子が彼と楽しそうに
マニアックな話してるのがちょっと羨ましかった。
学生時代、勉強あまりしてなかったし、自業自得なんだけど。

1次会の最後の方では、彼とも話した。少しだけだけど。
お酒のおかげで、いつもより気楽に話せた。
少し、飲みすぎて辛かったんだけど、
彼がわざわざ来る?って聞いてくれたし
せっかくだから2次会へ。だって、一緒にいたい。

2次会、最初席に座ろうとしたときには
彼と私の間に先輩がいたけど、
お酒をカウンターで注いでもらってから戻ってきたときに、
彼がカウンターからまだ戻ってきていない先輩の
鞄がおいてあった場所に半ば強引に座ってしまった。
席は隣同士。しかも、長椅子なのに肩が触れるくらい寄って。
彼と、ふたりきりで話したわけじゃないけど、割と楽しく話できた。
正面が新人さんひとりだったのも気楽で良かった。
同じ課の人とかだったら、寄り添って座ってる私たちのこと
ヘンに思うんじゃないかなと。

平日だし、二次会は三々五々解散。
私たちは11時ごろ、新人さんと一緒に店を後にした。
お店をでて、駅にまっすぐ向かう新人さん達。
みんなで仲良くもいいんだけど、そのまま駅に着いちゃうのが嫌で、
お店の扉を開けてくれた彼の後ろについて外に出た。

”右?左?どっちから帰る?”
新人さんは既に右手にいる。明かりの具合からして、駅もきっと右手。
”じゃあ、左で”
”わかった、左から行こう”

歩き出した彼に、左手って何があるのって聞いたら
”知らない。何か楽しいことがあるかも”って言われた。
あてがあるの?って聞いたら、わかんないって返された。

彼がどう思ってるって聞くから、好きだって答えた。
何が?って聞く彼に、最後まで理由は答えなかった。
だって、明らかに負けてるもん。ほとんど、全部なんだから。
誰より一緒にいたいと思うし、知りたいと思う。思っているはず。
彼には怖い面もある。遠く感じることも多い。
仕事も、プライベートも。
でも、そんな彼がこっちを向いて、笑っててくれるのが嬉しい。
それが間違いで虚構でもいいんだと思うくらい、感覚が麻痺してる。
遠くにいるから、好きなんだ。憧れてる。
そんな彼が、そばにいてくれるだけで、幸せ。

”俺に、どうしてほしい?”
彼が訊く。どうもこうも、ない。今のままで、もう十分。
出口なんてないけれど、
あなたが今のままでいてくれれば、それでいい。
今が恵まれすぎてて、とっさにこれ以上が望めない。
”どうしてそんなこと訊くの?聞いたら後悔するかもよ?”
”ダメなことは、ダメだって言わなきゃならないから”
言われたくない。そんなこと。

”どうしたい?”
どうすれば、喜んでくれる?何が出来る?
”こんなふうに一緒にいたいよ。それで失いたくない。
 それで、何か一緒に作っていけたらいいなと思う”
それが、私たちだと私の苦手な仕事になるわけだけどね。
同じ時間を過ごしたいというのは、そのまま私の願いでもある。

”俺、今、幸せなんだ”
彼が言う。
”こうやって、俺のこと好きでいてくれる人が傍にいて、
 味方がいるって感じられるから”
そんなことない。気がついてないだけで
周りにはたくさん、彼のこと好きな人がいる。
彼がいないと、誰からともなく彼を探してる。
そんなふうにみんなに愛されてるあなたが、私も好きだ。
他にも、好きなところはたくさんあるけど。

むしろ、幸せなのは、私。
できるだけなんでもないように過ごそうとして
ひねくれた表現しかできない私に比べて、
あなたはストレートに気持ちを行動で見せくれるし、
口に出してくれる。
私のほうこそ毎日楽しいよ。

お店を出てから、しばらく歩いてたんだけど、
ふと街頭の切れ目で目が合った。
不意に彼が私の腰に手を廻して体ごと引き寄せた。
彼の体温で温まったフレグランスの残り香が鼻をくすぐる。
抱えられるみたいになって、止まったところで
軽く目を閉じると軽く唇と唇が触れた。
もっと欲しくて、向きを変えて再びキスする。
うっすら目を開けたまま、彼がゆっくり舌を絡ませてきた。
視線に負けて、私は目を閉じたけど、
再び目を開けてたときも、彼はじっとこっちを見てた。
街頭が反射してきらきら光る瞳が、冷静に私の反応を見つめる。
余裕たっぷりのキス。
彼とするまで、ディープキスが
こんなに気持ちいいなんて思ったことなかった。
落ち着いてる彼に反比例して、ゾクゾクして息が上がる。
”こういうこと、していいのかなぁ…”
ぼんやりしてる私に笑顔で軽くキスして、また歩き始める。
あなたが言うように、ふたりの間には問題はないよ。今はね。

ただ、今日は彼に、可愛いから好きだって言われてしまった。
私もあと5年もすれば、30過ぎる。
その頃にはきっと、可愛さでは勝負できない。
その頃には、あなたは私の傍にはいないんだなと、思った。
仕方ないよね。あなたに中身を愛されるほど、出来た人間でもないし。
好きでいてくれるのは嬉しいんだけど、反面少し哀しかった。
結局、私はどこに行っても”可愛い”だけなんだ。
体は、出来損ないなのに。
彼の気持ちが冷めたときのリスクを考えると、憂鬱になる。
それでも、この気持ちをなくしてしまうのも怖い。
なくしてしまったら、きっと毎日味気なさ過ぎてつまらない。
時に勝つのは、信頼とか、尊敬とか、そういうものだけど、
そういう点では私たちの関係はまるで頼りない。

この後も、2,3度抱き寄せられて、キスをして。
今日の彼は、躊躇わずに唇にキスをくれた。

”今度、出張行ったら、まずいよね。
 お膳立て、揃ってるもんなぁ…”
やっぱり、そう思う?まずいことに気がついてたのね。
どうなるかは、あなたの気持ち次第。
あなたが絶対嫌だって言えば、間違いは起こらない。
ダメだって言ったら押せるけど、
嫌だって言われたら諦めざるを得ない。
抱きあわなくてもいい。ただ、もっと長い間傍にいたい。
あなたが拒むのに、あなたを抱く勇気は、まだない。
キスだってそうなんだから、きっと彼には抗えない。
無抵抗に彼の前に全部をさらけ出すのはまだ少し怖い。
それ以上に、彼が私を抱いたら
そこで冷めちゃうんかないかって思う。
抱きたいとは、思うよ。抱かれてみたい。
無防備な彼の姿が見てみたいし、彼の肌に包まれてみたい。
キスがうまい人に抱かれるのは気持ちいいって言うしね。
気持ちだけで、体中がくすぐったくなるくらい気持ちいいんだから
裸の彼に抱かれたらそのまま死んじゃうかもしれない。

今日、いくつ目かの駅が見えた。
”今日はここまでで”
駅から、丸見えの高台。彼の唇が、私の唇を塞ぐ。
最後って言われたのが悔しくて、
体を起こした彼を抱き寄せて彼の頬にキスした。

なんでもない駅だと思ってた駅は、
彼の家の最寄駅だった。家の近くじゃない。
こんな近所で、抱きあってたらまずかったんじゃないのかな。

奥さんに見つかったら、ただじゃすまないんだろうな。
あんなに電話してくるところを見ると、
疑われたら探偵とか出てくるんじゃないかと思ってしまう。
後ろには気をつけないと。さすがに出張には来ないだろうけど。

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