誘惑

2004年4月28日 恋愛
先週、告白した彼とキスした。
誰もが認める幸せな家庭があって、それでもみんなに愛される彼。
正直、彼をそこまで引っ張っていけるとは、思ってなかった。

もともと、GW前に飲みにいこうよって話を課内でしたのが始まり。
体調悪かったから、行きたかったけど休むつもりだった。
でも、彼が”行かないの?”って声をかけたてきたから、行くことにした。
私には、来なよ、って聞こえた。彼は、そこまで読んで言ってたはず。

1件目はともかく、2件目での私たちはかなり怪しかったと思う。
ふたりで頼んだカクテルを交換して飲んで、
席は広いのに体が触れるほどくっついて座って、耳に顔近づけて話しかけて。
確かに、酔ってて意識は少し遠かったけど、
ストローささったグラスを交換するって間接キスじゃん。
唇じゃないけど、少なくとも私は彼の耳や髪に唇つけて話してるし。
そもそも、彼が持ったグラスから私がお酒飲んでたりしたし。

喧騒にまぎれて彼が言った。
”こうやって、ふたりでいられるのもあと数時間だね”
そういう話、ここでしてもいいの?
"あと10年、待てる?"
"待ってて良いなら考えるよ"
"精神的にも肉体的にも、近づきたいと思う?"
"…うん。両方"
"キスしても平気?抱かれたいとか思うの?俺はいいけどそれは"
"キスして。今日して。ここを出てからでいいから"
"ダメだよ…"

帰り。彼が歩いて帰る?って言ったから、うなずいた。
家までJRの駅で3つ分。結構遠い。
歩き始めた彼に、帰るまでにキスしてもらうわよって言って。

咳が、苦しかった。暗い道。酔いで音が遠い。現実感がない。
咳を我慢して息苦しくて、私は彼のほうを見ても歩くので精一杯。
彼に近づきたいと思いながらも見つめるだけ。
物心ついてから、落とすときは確信犯的にそうしてきたけど、
今回、本当はそうしたくはなかった。いいやり方ではないと思うから。
若いし、女だし、夜だし、ふたりになって男の理性に負けるはずがない。
でも、冷静でない相手から力づくで奪って何が残る?後悔?嫌悪?
自分の目は、良くも悪くも平均的で
彼氏の黒目がちな瞳や、彼の澄んだ瞳に比べて魅力的とは思わない。
誰もが持っていて、時がたてばなくなる若さ。
そんなもので彼に勝ちたくない。勝ちたいと思わなかった。

彼は目が合うたびに”絶対、キスはしちゃダメ”って首を振ってた。
迷うそぶりを見せながらも彼が拒否するから、
無理矢理手を伸ばして、抱きついて頬にキスした。
彼が抵抗してよそを向くから、耳にも、首筋にも。
歳の割に、見た目どおり滑らかで柔らかい肌。
耳元からも、香水の香りがした。
”今したら絶対、舌入れちゃうから。ダメ”
”キスしてしまうと、抱きたいと思っちゃう。とまらなくなるから”
彼が望むなら試してみてもいい。
そんなこと考えなかったけど、
私のこと抱きたい、なんて考えてる彼を見てみたい。

先週から、私は自分の気持ちがよくわからない。
意外と自分は醒めているつもりなのに、
彼に向き合うとどんどん彼が欲しくなる。
そうさせているのは、彼だと思う。彼は、知ってて仕向けてる。
ダメだと思うなら飛行機の中で私の気持ちなど、聞かなければよかったでしょう?
みんながいる場所で、ふたりの関係を話し始めたりしないでしょう?
隣に座って、顔を近づけて話したりしないでしょう?
悔しいけど、分かってるけど、上手いと思うけど、
彼のやり方が気持ちいいからあえて私も抗わない。
だから、もてるんだろう。彼は。
彼の女達は、彼にどういう教育をしたんだろう。知りたい。

彼が座ろうって言った。
私以外の女の人でも、同じことするでしょうって言う私に、
職場の女性の半分に言い寄られたよって教えてくれた。
でも、まだ口づけてはいないとも。(面子をみれば不思議はないが)
正直、びっくりした。もてるとは思ってたけど、
あんなに男がいて、彼ばかりそんなにもててるとは思わなかった。
私は、たくさんいる彼にいいよる女のひとりってわけ。
部内だけでそれなんだから、外は言わずもがなだろう。
先週だって、バーで一瞬目を離した隙に知らない女の人に口説かれてたし。
彼は私に女はたっくさんいるし、不自由してないって言った。
ではなぜ私?ますますわからない。
真面目に彼の言葉を信じてはいない。
奥さん以外の人とキスくらいしててもおかしくないし、
いないっていってたけど他の女がいても、全然不思議じゃない。

”あなたの言葉は嘘だと思うけど、あなたが欲しいから、キスして”
自分でもよくわからない。私、ほんとにそう思ってる?
確かなのは、彼の拒絶が私を本気にさせたことだけ。
女慣れした彼が知っててやってるのだろうから、
私の気持ちが純粋に彼になくても許されるでしょう?
いつから好きなの?どこが好きなの?そんなのわからない。
彼が私の言葉に揺れるそぶりを見せたから、私もそれに応えた。
しばらく、押し問答してて、顔押さえてダメだって言われて。
でも、”して”ってせがんだ。彼を抱いて、彼に抱かれて。
あなたじゃないと、ダメだから。少なくとも、今この瞬間は彼じゃないと。
なぜなら、目の前で彼が悩んでいるから。
そんな彼が欲しい。今の彼を抱きたい。楽にしてあげよう。楽にして。

諦めかけて、彼を見つめてると彼が顔近づけてきた。
額が触れる。
”顔、近すぎ”
鼻が頬に当たる。伏し目がちな目がすぐ前にあって、息遣いが聞こえる。
”…キス、しちゃうよ”
夜風で少し乾燥した唇。柔らかい舌が入ってきた。
最初から、ディープキスだった。あんまりしたことない。
ガムかんだままだし、むつかしい。うまくできないよ。
思わず声が漏れる。
私も彼の口に舌を入れてみた。あったかくて柔らかい。
一度顔を離して、軽くキスして、もう一度して。
”もう、他人とはいえないよ”
そうだと嬉しいけど、これはきっと間違い。
きっとあなたは忘れる。私たちは他人。
寒いといった彼をひざの上に乗って抱いたら
腰のあたりの肌に彼の手を感じた。

彼は、しないって言ってたのに最後まで送ってくれた。
途中、奥さんから電話かかってきた。
夜中の2時過ぎ。こんな時間まで彼の帰りを待ってるのかな。

別れ際に彼が言った。
”後悔しないで”
その言葉、そのままあなたに返したい。
”愛しいと思ってる。出来る限り守ってあげたい。
でも、兄や父にはなれるけど、恋人にはなれないよ”
そう言われると、否定したくなる。
でも、彼が惑わせないならば、私の本心はただそばにいて欲しいだけ。
父親のような存在で。今のままのあなたで。

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